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Beautiful Mondello beach at sunset.

イベールが寄港地の思い出を盛り込んだ「交響組曲『寄港地』」で思いをはせる

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人は、旅行などに行くとその思い出を何かに残しておきたいと考えると思いますが、もし才能がある作曲家ならばそれを音楽にして残すのでしょう。1890年にパリに生まれた作曲家「イベール」が残した「交響組曲『寄港地』」は、まさにそんな曲です。

3つの曲からなる交響組曲ですが、イベールが魅せられた船旅での寄港地の想いというものを私達も同じ航海を想像しながらたどってみませんか。どのような感性でどんな場所を思って曲が作られたのか、作曲家の感性にも迫りながら、イベールの曲の内容になっている「寄港地」を一緒に旅をするような気分でご紹介します。

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旅好きだったイベール、地中海を巡る「交響組曲『寄港地』」

寄港地イメージ女性

出典:liveyachting.com

パリに生まれたイベールは、志願して海軍士官として従軍し、様々な地を訪れています。その当時に地中海をいろいろと航海し、彼が受けた各地の印象はきっととても印象深かったのでしょう。戦争が終わってから32歳の時に再び自分でシチリア島とチュニジアを訪れています。

そしてこの時期に書き終えたのが「交響組曲『寄港地』」で、イベールの繊細な研ぎ澄まされた感覚で表現された曲は、まるで船旅をしているかのように風景が浮かぶ曲として有名となったのです。この曲でイベールは有名な作家となっていきます。

交響曲ピアノ

出典:by-s.me

3曲から成り立つ組曲『寄港地』は、それ以前にもいろいろな所を旅してきたイベールにとって思い出深い場所を交響組曲にしたものだと言えるのではないでしょうか。地中海を周った中で、彼をそこまで駆り立てた魅力のある3つの『寄港地』とは一体どんな所なのか訪ねてみたくありませんか。

実はこの曲を作った際にはシチリア島とチュニジアへ旅行をした直後のことだったと言います。旅行中に砂漠を訪れ、重い日射病にかかったイベールが帰国後作ったものです。そんな思いをして作ったこの曲の成り立ちが気になると同時に、旅行後の彼の想いにますます興味が湧いてきます。

第1曲は「ローマーパレルモ」

ローマ

出典:flickr.com

この『寄港地』の交響組曲は、船で航海をするように各地を周るのですが、その航海の始まりは、ローマーパレルモ間です。イベールは海軍士官として任務を果たした後、作曲家としてローマ大賞という章をもらい、ローマへ留学。そこで彼が感じたローマがこの曲になっています。彼にとっては、自分が作曲家としてスタートしたまさに作曲家としての人生の航海のスタートの場所と言えます。

第1曲はフルートのゆったりとした低音部から始まります。ゆったりとしたローマからの船出という感じです。ローマもパレルモも港の近くに街があるというまさに船で巡るには格好の旅です。ローマから一転して次の寄港地「パレルモ」での曲調は、活気のある雰囲気に変わります。トランペットで南国の活気のある喧騒の雰囲気の音を演出しています。

パレルモ街

出典:pixelchrome

私達はあまり知らないのですが、地中海最大の島とも呼ばれている実は大きな島です。「パレルモ」の活気は、歴史上から言っても地理的に立地が良かったことや肥沃な土地、気候に恵まれた土地であったために多くの人種が集まり住んでいて活気にあふれています。

「パレルモ」という場所は、シチリアの州都で実はイタリアで人口が多い順に1位ローマ、2位ミラノ、3位ナポリ、4位トリノ、5位パレルモという大きな都市で、多国籍な賑わいに圧倒されたのかもしれません。

Beautiful Mondello beach at sunset.

出典:500px.com

シチリア島北岸に位置する州都「パレルモ」は、実は「パノルモス(すべてが港)」と古代ギリシャ人に言われていたことから地名が付いています。この景色をみるとわかるように、地中海に沿って「パレルモ」の街が広く広がっています。家々が海辺まで迫り繰り、海風を間近に感じることができる街です。美しい青い海に大型客船が行き交う街です。

写真は「パレルモ」の美しい「モンデッロ」という海岸です。地中海の美しさを独り占めしたような気分になる場所です。

地中海を巡る旅と言うことがこの組曲のテーマになっていますが、第1曲は、ローマからパレルモというどちらかというとゆったりとした船旅を味わったことも曲から伺えそうです。最後には静かなローマへの航海へ戻るというような曲の構成になっています。

第2曲は「チュニスーネフタ」

チュニス街並

出典:en.wikipedia

チュニジアのチュニスーネフタへの航海をテーマにした第2曲では、地中海の南西側に寄港した様子がテーマになっています。第2曲は、アラビア風な旋律が印象的な楽曲です。イベールはこの航海の旅で、砂漠による重い熱中症にかかっています。シチリアとチュニジアに旅行し、サハラ砂漠にも行ったのでしょう。日射病にかかったほどで、より砂漠のチュニジアのイメージは強かったのではないでしょうか。

また、先ほどのシチリアの「パレルモ」にもサハラ砂漠の砂が南風で運ばれてくるということで、この辺一帯には独特の雰囲気を感じたことが曲からも伺えます。

チュニス

出典:en.wikipedia

第3曲は「バレンシア」

作曲でローマ大賞を受賞してからローマで留学している頃にはスペインにも行っています。そして「イベール」は新婚旅行でもスペインを訪れています。第1曲、第2曲と違ってここから一変してスペインのバレンシアの陽気な雰囲気の曲作りとなっています。

エネルギッシュなスペインへの航海をお祭りのような雰囲気の曲調で盛り上げてこの組曲は終わっています。スペインという地がイベールにとってとても魅力的だったことはいうまでもないのではないでしょうか。スペインでの気持ちの高揚を爆発させるように曲に表現して組曲は幕を閉じています。

パエリア

出典:kinarino

スペインのバレンシア地方では、スペインではお馴染みのパエリアを大きな鍋で大勢で食べるパエリア祭りもあります。豪快に作られるパエリアにはスペイン人の陽気さをも感じます。こうしたお祭りで賑わうのもスペインの街と人々の魅力です。

『寄港地』の曲からたどる作曲家イベールが表現した地中海の魅力

同じ頃作られた「ピアノ独奏曲『物語』」もこうしたヨーロッパや中近東の国々の印象を彼なりの優れた感覚で10曲の小さな曲に綴っています。これらの多くの国々が彼の芸術的センスに影響を与えたと思われます。様々な寄港地は、そのそれぞれの異なる雰囲気がゆえにイベールにとっては刺激的だったのでしょう。

地中海と言うのはヨーロッパもあれば中近東もある多彩な国々が周囲に集まっている海ではないでしょうか。地中海を一周することで、ヨーロッパの歴史や遺跡の地を訪れる事もでき、中近東のような砂漠の地を訪ねることもできます。この海を舞台にして繰り広げられる様々な国の景色や人々の顔に、イベールは曲を作るほどの強い思いを抱いたのでしょう。

船旅だから一度にいろいろな所を点々と航海して感じることのできるインパクトの大きな異国感なのかもしれません。地中海をイベールのように周って「交響組曲『寄港地』」を聞きながら彼の感性に酔いしれ同じ感動を味わってみたい気になります。

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