
本記事では地中海クルーズの寄港地「パレルモ」の魅力と歩き方についてご紹介していきます。地中海クルーズを予定されている方は、是非本記事を参考にしてみてください。
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イタリアの地中海に浮かぶシチリア島の最大都市
長靴の形をしたイタリア半島。そのつま先あたりにある一際大きな島がシチリア島です。地中海に浮かぶ島の中では最も大きな島です。その大きさはなんと日本の四国の1.4倍にあたります。全域がイタリア共和国シチリア州の管轄下にあり、国土面積の十二分の一をしめています。
そんな大きな島の中心にあるのがパレルモ市。人口は678,492人。中世シチリア王国の古都として、日本で言う奈良や京都のような観光地になっています。
シチリア島北西岸パレルモ湾に面した盆地
シチリア島の玄関口ともいえるパレルモ市。じつは、市内には空港が二つあります。一つはパレルモ・ボッカディファルコ空港で、二つ目はパレルモ国際空港です。その内、パレルモ国際空港は2007年に年間利用客が451万人を達成した大きな空港です。
観光地としての交通の便は比較的良いと言えるでしょう。
パレルモ市は湾に面した盆地に存在し、市内にはたくさんのヨットが停泊する港があります。どこか見どころがあるというわけではありませんが、お散歩にはちょうど良いでしょう。
海と港、そしてヨットが島にいるという事を視覚的に感じさせてくれますよ。
人口約65万人を超える大都市
前述の通り、その人口は65万人を超えます。島の中心都市としては破格に多くの市民を抱える都市です。ちなみに、イタリアの都市人口ランキングとしては、1位ローマ、2位ミラノ、3位ナポリ、4位トリノに次いで、堂々の5位です。
国全体から見ても、パレルモ市が主要都市である事がわかりますね。人口密度お4205人/k㎡と、神奈川県と同程度の人口密度を誇ります。島だからといって、田舎というわけではないのですね。
3000年の歴史がある町
そんなパレルモですが、実はとても古い歴史があります。遡ると、時代はなんと紀元前にまで遡ります。ポエニ戦争も経験した事のある島ですから、古代からヨーロッパ大陸の軍事的・経済的な要所として目をつけられていたようですね。
中世になると、東ローマ帝国領として、キリスト教文化を受けます。しかし、965年には異教徒であるイスラム教徒によって侵略されます。
実は、この時、イスラム王朝はパレルモを首都にしたという経緯があり、なんと首都としての経験もある都市なのです。もちろん、イスラム教の文化も花開き、キリスト教徒やユダヤ教徒も共存していました。まさに多文化国家の先駆けといえるのではないでしょうか。
そんな3つの宗教に影響を受け、人口は30万人にまで爆発。そして、他の中世ヨーロッパには見られない独自の文化、そして繁栄を極めました。
後にフランス文化の影響も受け、さらに文化は高度に発展。文化の融合に次ぐ融合によって、最終的には独特の文化圏を築いていくことになるのです。
このように、パレルモはキリスト教文化圏であるヨーロッパ本土よりもまた一風変わった独自の文化を営んでいます。それが今日、我々にとって興味深い観光地となっているわけですね。
さまざまな民族による独自の文化地中海文明
上記に記したとおり、パレルモは侵略に次ぐ侵略の歴史を辿っています。しかし、それはつまり、様々な文化の融合と共存を意味するのです。さて、そんなパレルモの地中海文明を実際に旅してみましょう。
パレルモのおすすめ観光スポット

パレルモを一言で表すならば、中世ヨーロッパの縮図といえるかもしれません。中世ヨーロッパにタイムスリップしてみましょう。
マルトラーナ教会
ビザンツ帝国中期の建設様式で建てられたマルトラーナ教会。海軍提督ジョルジョによって作られたと言われています。外から建物を見ただけでも漂う凛としている姿。中に入ると、そこには東方典礼カトリック教会の文化を受けた様々な絵画が目に入ります。その中でも、キューポラに描かれたキリストのモザイクアートは必見です。
ノルマン王宮
かつて、シチリア王の宮殿として使われたノルマン王宮。アラブ人の王によって作られたため、アラブ文化やそれに伴うイスラム文化の影響を色濃く受けた建造物です。
素晴らしいモザイクが画、精密な文様で彩られた天井、良質の大理石で化粧張りされている床と壁。ぜひとも、王様気分を味わってみてください。
パラティーナ礼拝堂
そんなノルマン王宮の2階にあるのがパラティーナ礼拝堂です1130年ごろに建設がはじまりました。王宮自体はアラブやイスラム風であるのに関わらず、その礼拝堂はなんとキリスト教の物です。
まさに、パレルモの文化融合を象徴する建造物として、歴史的・芸術的に注目され、各分野の学者からも一目置かれている場所です。
ジェズ教会
日本にも来たイエズス会の本拠地としても名高いジェズ教会は世界初の真のバロック様式の教会と言われ、世界中に点在しているイエズス会の教会の建築様式はこの教会をモデルにしています。
特にアメリカにあるイエズス会派の教会に強い影響を与えたみたいです。内部装飾もカトリックらしく、雅で豪華な物になっています。
パレルモ大聖堂
キリスト教の教会にいるのか、イスラム教のモスクにいるのか、分からなくなるような場所です。外観から内装、そして建造のコンセプトに至るまで、全て「キリスト教」と「イスラム教」の融合をテーマにしています。大聖堂広場に面した柱廊の浮彫の精密さは必見です。
マッシモ劇場
「ゴッドファーザー」でのロケ地ともなったマッシモ劇場。実は、ヨーロッパで3番目に大きいオペラ劇場として、ヨーロッパの中でもかなり有名な激情です。
実は、1974年から23年間も閉鎖されるという悲しい歴史も有していますが、今では完全復活。元気よく公演しています。近代パレルモの象徴として、歴史的にも重要な要所ですので、立ち入ってみてはいかがでしょうか。
モンレアーレ大聖堂
世界遺産として名高いモンレアーレ大聖堂はシチリア島観光には欠かせない存在。ノルマン建築様式の代表的遺産の一つです。
大理石の柱が建物を支え、その装飾は金やテッセラなどが使用されています。美しいという言葉だけでは収まりきれない魅力がそこにあります。
ポリテアーマ劇場

カプチン会修道士墓所
ホラーが苦手な方には少し怖い場所。
その地下には納骨堂があります。カプチン会独自の埋葬方法であるミイラによる埋葬が行われているので、不気味そのもの。約8000もの遺体が安置されていて、見る者の背筋をぞくりとさせます。
モンテ・ペッレグリーノ
パレルモは決して建築物だけではありませんよ。美しい砂浜だってパレルモの持ち味です。ビーチとして開発された歴史も古く、19世紀、そこに住んでいた貴族によって開発されました。次持ちパレルモ市民にとっては切っても切れないほど親密な関係性にあるビーチのようです。
プレートリアの泉
たくさんの裸体像が安置されているプレトーリアの泉。地中海文化の象徴ともいえるでしょう。その純白の石に掘られた何体もの裸体像や馬の像はまるで生きているかのようです。市内中心部にあるプレトーリア広場という場所に安置されています。
サン・ジョバンニ・デリ・エレミティ教会
ノルマン王宮の近くにあるイスラム建築様式にのっとった教会です。1132年に建築され、今では教会としての役目を終え、文化財として残っています。
赤くて丸い屋根が特徴的且つよく目につくので、とても見つけやすいと思います。壁にはモザイク画が残されていますので、一見してみてはいかがでしょうか。
考古学博物館
もっともっとシチリア及びパレルモの歴史や考古学を知りたいと思った方はぜひ、この博物館をお勧めします。じつは、この博物館自体が17世紀の建造物を使用しているらしく、シチリアの歴史遺構の多さには口が開く思いです。
シチリア島で出土したモザイク画や石碑、彫刻のみならず、なぜかポンペイの壁画もあります。見られる展示物や建物自体の歴史的価値から考えると。入場料も決して高くはないと思います。
シチリア美術館

キリスト教関連の美術品が何点も展示されていて、キリスト教や絵の研究をしている人は絶対に立ち寄ると言われている場所です。
プレトーリア広場
先に記したプレトリアの泉がある広場です。何体もの彫刻や装飾は見事そのもの。また、夜になるとライトアップされ、とてもロマンチックな光景を出します。もしも、カップルでパレルモに訪れるのなら、絶対によっておくべき場所ですね。
クアットロカンティ
パレルモ旧市街のど真ん中にある、他とは一線を画した荘厳且つ麗しい建造物がクアットロカンティです。交差点の四隅を囲むように建てられています。
一階には春夏秋冬をイメージした噴水が、そして三階には守護聖人の像が安置されている事は有名です。ただし、交差点にあるため、車の往来が激しいです。事故には十分気を付けましょう。
パレルモのメルカート(青空市場)のB級グルメ

アランチーニ
わかりやすく言うと、お米のコロッケというのが一番的を射ていると思います。しかし、日本のコロッケとは違い、円錐形にして揚げるというのが特徴です。そのお味は衣がサクサクで、中からはホウレンソウやパンチェッタ等、多種多様な具材が顔を出します。
スピンチョーネ

ミルツァスティギオーレ
シチリアのグルメと言えばこれ。ミルツァスティギオーレとは、シチリア版ハンバーガーです。立ち歩きながら食べられるので、散歩をしながら小腹を満たすのには最適です。実際、パレルモ市内にはこのミルツァスティギオーレを片手に歩いていく人もたくさんいるというくらいポピュラーの食べ物なのです。
ベッカフィーコ
シチリア西部の郷土料理として名高いベッカフィーコ。味も良し、見た目も良し。地中海で取れるイワシをふんだんに使い、アンチョビ、にんにく、オリーブオイルによって味付けされます。過程でも作りやすいので、ぜひ、ご家庭でも挑戦してみてはいかがでしょうか。
カルチョーフィ
日本ではチョウセンアザミと呼ばれ、食用としてはあまり馴染みのない野菜です。しかし、そんな野菜もイタリアでは代表的な食材として調理されます。でんぷんを多く含むため、食感は芋に似ているそうです。オリーブオイルで焼くのが一番手っ取り早く、ポピュラーな調理方法です。
パレルモはジェラート発祥の地
暑い夏、食べたくなるジェラート。今でこそ、日本でも人気のアイスですが、実は、パレルモが発祥の地とされています。そうと知れば、元祖ジェラートを食べてみたいものですよね!また、パレルモにはジェラートの他にも様々なお菓子がたくさんありますので、ご紹介したいと思います。
カンノーロ
シチリアのお菓子の中では最も有名なカンノーロ。現在でこそ、一年を通して食べられているこのお菓子ですが、実は謝肉祭を祝って食べられる季節菓子です。その謝肉祭との関係性から、豊穣の象徴であるとも考えられます。カプチーノとよく合うため、試してみてはいかがでしょうか。
カッサ-タ
こちらもイタリアを代表する菓子の一つです。果物やナッツ、チョコレートなどを混ぜた具材豊かなアイスクリームです。もちろん、その発症はシチリア島。ぜひとも、元祖のカッサータを味わってみてください。
ジェラート・コン・ブリオッシュ
最高級のパンにジェラートを挟んだ逸品です。日本ではまず味わえないような新食感スイーツが物議を醸しだしています。余談ではありますが、日本でもジェラート・コン・ブリオッシュの専門店ができたみたいですので、調べてみてはいかがでしょうか。
まとめ
このように、シチリア島パレルモ市は一日ではとても回り切れないような魅力で満載の都市です。もちろん、ヨーロッパ本土にも魅力はたくさんありますが、島だって負けてはいません。
残念ながら、今では仲が悪くなってしまったキリスト教とイスラム教ですが、共存していた歴史があるという事実をこの街は教えてくれます。ぜひとも、観光の際には、そんな平和を想う気持ちを忘れずに、そして何よりも目いっぱい楽しんでくださいね!
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